森の中の廃墟が隠していた百年の秘密

リアムとエミリーにとって、それはただの週末の冒険のつもりだった。これまでにも、彼らは廃病院やゴーストタウン、誰もいない学校などを訪ね歩いてきた。しかし、1920年代のまま時が止まったような森の奥の屋敷があるという噂を聞き、行かずにはいられなかった。地元の人たちはこうささやいていた。ある嵐の夜に屋敷の主人たちは姿を消し、誰も戻らなかった、と。その土地は呪われ、自然に飲み込まれ、道さえも時の中で消えてしまったのだと。

何時間も深い森を歩いたあと、霧の中にライトの光が何か不自然なものを照らした。苔に覆われた石の柱が半ば地中に埋もれている。その奥に、屋敷の全貌が姿を現した。窓は砕け、屋根は長年の風雨に耐えきれず崩れかけていたが、不思議な威厳がまだ残っていた。まるで生き続けようとしているように見えた。二人は顔を見合わせる。リアムが少し緊張した笑みを浮かべた。「ついに見つけたな。」エミリーがカメラを構え、シャッター音が森に響く。重たい木の扉は少し開いており、風にきしむ音がどこか誰かを待っていたかのようだった。

エミリーが息を整えて扉を押すと、古いビロードと湿った木の匂いがふわりと漂った。中はまるで時間が止まったようだった。天井からはほこりをかぶったシャンデリアが今にも落ちそうにぶら下がり、壁にはひび割れた額縁の中から気品ある人々がこちらを見下ろしていた。「この場所…息を潜めてるみたい。」とエミリーがささやく。リアムのライトが長い廊下を照らすと、バラの彫刻が施された大きな両開きの扉が見えた。「同じこと考えてる?」リアムが取っ手に手をかけた。扉が軋みを上げて開く。中を見た瞬間、二人の心臓が止まった。

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